ASDのあるこどものための「SCERTS(サーツ)モデル」が、コミュニケーションの改善に効果があるかを調べた研究です。
455人を対象にした6つの研究(2014〜2021年)をまとめた論文(システマティックレビュー)です。
【SCERTSとは?】
特定の訓練ではなく、
・家庭
・学校
・地域
などの日常生活の中で支援を行うアプローチです。
「社会的コミュニケーション」
「情動の調整」
「交流的サポート」
を重視します。
【だれが実施する?】
・教師:約55%
・保護者:約34%
・言語聴覚士など:約11%
実施前に2〜3日の研修を受け、その後も週1回〜隔週程度のコーチングを受けながら進めます。
【わかったこと】
①社会的コミュニケーションには効果
評価した5研究すべてで改善が報告されました。
特に、
・自分から伝える
・相手の働きかけに応じる
・共同注意(指差しや視線共有)
・社会的なやりとり
の向上がみられました。
②言語の発達は結果がバラバラ
・表現言語
(自分の意図や気持ちを相手に伝える力)
・言葉の理解
については、
「改善した」
「一部のみ改善した」
「効果がなかった」
と研究によって結果が分かれました。
③こだわり行動や情動の調整は証拠が不足
・反復行動(こだわり行動)
は3研究中2研究で効果がみられませんでした。
・情動の調整(感情のコントロール)
は1研究のみで改善が報告されました。
④遊びのスキルは一部改善
おもちゃを本来の用途で使う「機能的な遊び」は増えました。
一方、
・見立て遊び
・ごっこ遊び
など、より複雑な遊びでは大きな変化は確認されませんでした。
⑤学習や認知能力は結論が出ていない
・適応行動
・認知能力
・学業スキル
は良い結果と悪い結果が混在しており、現時点でははっきりした結論は出ていません。
【保護者・教師への効果】
研修を受けた保護者や教師は、
SCERTS(サーツ)の支援方法を70〜80%以上の高い水準で実践できるようになりました。
また、
・子育てへの自信
・支援への満足感
の向上も報告されています。
【まとめ】
SCERTSは、
・自分から伝える
・相手とやりとりする
・共同注意
(他の人と同じものや出来事に注意を共有すること)
などの「社会的コミュニケーション」を伸ばす方法として有望でした。
一方で、
・言語の発達
・情動の調整
・こだわり行動
・学習や認知能力
への効果は、今後さらに質の高い研究で確かめる必要があります。↓