普段そこまで本を読まない人の【イン・ザ・メガチャーチ】感想
書き出しは特に魅力的ではなかった。巧みな比喩や斬新な表現、読者の気を惹くような情報の提示は無く、ありがちなモノローグから場面転換の少ない一人称での語りが始まった。文章は平易で癖が無く、作家独自の味は感じられなかったが、それ故にとても読みやすく、内容だけで勝負をするのだという気概が感じられた。
テーマは「推し活」であり、序盤からその功罪が語られるのだが、どの視点もかなり解像度が高く、普段それについて考えていない人にとっては、気付かされることが多いのでは無いかと思った。
私も「推し活」含む社会の流れに乗り切れない登場人物や、人がガワだけを見て中身を見ないことに腹を立てる登場人物、細かい事が気になりすぎて人間関係が上手くいかない登場人物に感情移入しながら読み進める事が出来たのだが、簡単に共感できる内容だけに、新鮮な驚きはなかった。
しかし中盤、アイドルの生い立ちや関係性だけをストーリーにするだけではなく、CDを買って一位にさせたい、自分と同じような気質のアイドルの活躍を楽しみたいという思いを利用して、ファンを物語に巻き込むような話からは、今までわかってはいたものの言語化出来ていなかったものを、綺麗に整理してくれたような気がして、話にぐっとのめり込めた。
登場人物の視野がどんどん狭くなり、呆れると共に共感性羞恥を感じている自分に驚いた。それを感じるということは、それだけ入れ込んでいるということだからだ。特に父親の話にはすごく感情移入出来た。娘側のエピソードは流石に頭が悪すぎて呆れるところもあったが、気分が落ち込むと逃避しようとするところなどは、心情がすごく理解出来た。
この作者の作品は読んだことが無かったが、有名な作家ということで、すっきりとした大団円や、どこかしら救いがあるような内容なのだろうと思っていた。しかし中盤以降、登場人物は勢いよく破滅へと向かいはじめ、それぞれの物語は激しく交錯した。ドラマチックな文体では無いにも関わらず、後半は大きく感情を揺さぶられた。最後のシーンで父親はどう思ったのか、がすごく気になる結末だった。中盤以降が面白かっただけに、序盤は丁寧すぎて勢いに欠けると感じた。
また、本書はオーディブルで読んだ。オーディブルは一人称のこの作品にあっているが、語り手によってはきつい、うるさいこともある。重要な場面とそうで無い繋ぎの部分、台詞と地の文を同じペースで読むので、三人称の作品だともっと合わないだろう。台詞に感情が籠るのは良いところだが、一方で「声のトーンを落とした」のような地の文の意味が無くなるし、読者ごとに口調のイメージが変わらないというのは寂しい。紙の読書とオーディブルの読書で違いがないというのはありえない。
オーディブル読書するようになったので、ここしばらく現代日本作家の作品をいくつか読んだんだけど、本当にこれが現代文学と言われるやつなの? と訳分からんくらい面白くない。
朝井リョウも村田沙耶香も遠野遙もみんな面白くない、というかつまらない。
という話を夫に言ったら→