Joined December 2009
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猫の一生は、人の五分の一ほど。 人が80年かけて辿る道を、 猫はわずか12〜15年でそっと通り抜けていく。 その一年は、人の 4〜6年分の速さで過ぎていく。 だからあなたの“たった1時間”は、 猫にとって 半日ぶんの移ろいになる。 あなたが外に出る3時間は、 猫には 一日分の静けさに近い。 光が傾き、影が伸び、季節の匂いが少し変わる。 それでも猫は騒がず、 ただ一度、玄関のほうへ視線を向けて “あなたの気配の欠片”を探すだけだ。 あなたの1日が終わる頃、 猫はその裏側で 数日ぶん老いている。 1週間が過ぎれば、猫の身体では ひと月ぶんの変化が進む。 昨日は軽く跳べた棚に、 今日は前足を置いたまま少し考え込んだり、 先週より日向で眠る時間が長くなったりする。 猫は何も言わないまま、 静かに老いの階段を降りていく。 あなたが気づくより早く、 身体だけが未来へ進んでしまう。 そしてあなたの“一年”。 「あっという間だったね」と言うその一年で、 猫は 4〜6年分歳を重ねる。 呼ぶ声に応えるまでの間がふっと長くなり、 撫でた指先に、骨の細さが少しだけ触れるようになる。それでも猫は、あなたの前では なるべく変わらない姿でいようとする。 静かな誇りを失わないために。 あなたにとっての15年は、人生の五分の一。 けれど猫にとっての15年は、 あなたを想いながら老いていくための全部の時間。 あなたが名前を呼んだ数秒、 そばに座った数分、 笑った一瞬でさえ、 猫の世界では何倍もの意味を持って積もっていく。 そして老いてなお… 高く跳べなくなっても、 耳が遠くなっても、 目が霞んでも、 猫は今日も、あなたの帰りを待っている。 扉の開く音、靴の擦れる気配、 あなたの匂い… それらが聞こえ、感じられるだけで、 老いた身体は今日を受け入れる。 猫の短い一生は、 その最期の瞬間まで、 静かに、深く、 あなたを想う時間で満ちている。
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タヌキを見ていると、不思議に思うことがあります。 餌のすぐ横に木のおもちゃを置いただけなのに、 誰も餌を取りに来ませんでした。 餌まではあと一歩です。 鼻先を伸ばせば届く。 それなのに、 最後だけ近づかない。 気になるらしく何度も見に来るのですが、 近づいては立ち止まり、 少し離れて様子を見て、 また戻ってくる。 木でできたおもちゃです。 別に危険そうなものではありません。 音が鳴るわけでもない。 動くわけでもない。 ただ、 昨日までは無かった。 それだけです。 けれど、 どうも彼らにとっては、 それで十分らしい。 ただ、長く見ていると面白いことにも気づきます。 彼らは未知のものを避け続けるわけではありません。 何度も観察し、 何度も確かめ、 危険ではないと判断すると、 今度はそれを、 自分たちの日常の中に取り込んでしまう。 三日後には、 その木のおもちゃを枕にして寝ていました。 動物は本能で生きている。 たしかにそうなのかもしれません。 ただ、 タヌキたちを見ていると、 本能とは「変わらないもの」ではなく、 経験を通して少しずつ世界との付き合い方を覚えていく力のことなのかもしれない、 そんな気がしてきます。 昨日まで怖かったものが、 今日は気にならなくなる。 そうやって少しずつ、 自分の世界を広げていく。 その姿は、 案外、 人間ともよく似ているのかもしれません。
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今日、6月13日はリンクの7回目の誕生日です。 未熟児として生まれたリンクは、四姉妹の中で一番年上なのに、一番小さなお姉ちゃんになりました。 幼い頃から皮膚疾患に悩まされ続けていますが、それでもこうして7歳の誕生日を迎えることができました。 動物たちと暮らしていると、誕生日は嬉しい日であると同時に、少しだけ怖い日でもあります。 まだ7年。 もう7年。 その両方の気持ちがあります。 それでも来年も、再来年も、変わらずこの子の隣で誕生日を祝えたらと思っています。 小さな頃から見守ってくださっている皆さまも、今日初めてリンクを知った皆さまも、本当にありがとうございます。 リンク、7歳の誕生日おめでとう。
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シジュウカラは仲間と情報を共有し、危険があれば知らせ、時には他の鳥の会話まで利用しているそうです。 研究者はそれを「コミュニケーション」と呼びます。 人間はそれを「情報収集」と呼びます。 もう少しくだけた場所では、 「噂話」とも呼びます。 近所で騒ぎがあれば気になるし、 誰かが慌てていれば様子を見に行く。 自分に関係なくても、 とりあえず何があったのか知りたい。 そんな様子を見ていると、 シジュウカラが人間に似ているのではなく、 人間が思った以上に シジュウカラなのかもしれません。 少なくとも、 他人の話が気になってしまうあたりは。
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タヌキたちのご飯を準備していると、 背後から銃撃されます。 犯人はカラスのあーちゃんです。
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タヌキのつくし。 たまに神獣みたいな写り方をする。 ご利益の有無については現在検証中です。
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音量を上げてください。 タヌキのムギ、 イビキだけ人間です。
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生き物を見ていると、時々図鑑のほうが負けることがあります。 マガモについて調べていて、そんなことを思いました。 川にもいる。 池にもいる。 日本中どこでも見かける。 あまりにも身近な鳥なので、わざわざ不思議に思うこともありません。 ところが調べてみると、この鳥にはひとつ妙な特徴があります。 鳥類の中でも、他種との交雑例が非常に多いのです。 世界中で様々なカモ類との交雑が報告されており、その数は数十種に及ぶとも言われています。 ここで素朴な疑問が出てきます。 なぜマガモはそんなに交雑するのでしょう。 相手を見分ける能力が低いのでしょうか。 どうもそう単純な話ではなさそうです。 マガモはちゃんと同種同士で繁殖していますし、求愛行動や配偶行動もよく研究されています。 それでも時々、私たちが「別種」と呼んでいる境界線を越えてしまう。 私は長いこと、生き物を理解するというのは違いを知ることだと思っていました。 どこが違うのか。 何が違うのか。 どう見分けるのか。 実際、それはとても大切なことです。 でもマガモを見ていると、違いを気にしているのは人間のほうなのかもしれないと思うことがあります。 図鑑の中ではきれいに分かれている鳥たちが、野外では時々こちらの思惑通りに動いてくれません。 分類しているのは人間で、生きているのは動物です。 当たり前の話ですが、つい忘れてしまいます。 長年研究されている鳥なのに、なぜそこまで交雑が多いのかは今もきれいには説明できません。 研究者の皆さんには申し訳ないのですが、 この件に関しては、本人たちに聞くのが一番早い気がしています。
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タヌキのムギ、 ポン・デ・リングになる。
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本日の案件。 被害者はマガモ。 「釣り糸が絡まって動けない」 との通報で現場へ。 ウェーダーを履いていたので余裕だと思っていました。 台風後で水位が上がっていることを忘れるまでは。 開始数秒で浸水。 途中から、 誰を救助しているのか分からなくなりました。 なお、 当の本人は終始冷静。 現場で一番慌てていたのは私です。 以上、現場からでした。
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宅配便のドライバーさんに 「ゴリラまで居るんですか?」 と聞かれるパッケージがこちら。 なお、 ゴリラはおりません。 毎回説明するのですが、 説明するほど怪しくなります。
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この時期になると、子ダヌキを保護したという相談が増えます。 親が見当たらない。ひとりでいる。鳴いている。 そう聞くと、助けが必要なのではないかと思うのは自然なことです。実際に、本当に手を差し伸べなければならないケースもあります。 ただ、野生動物の現場では、最初に考えるのは「保護するかどうか」ではありません。 母親は本当にいないのだろうか。 餌を探しに行っているだけではないのだろうか。 巣穴を移動している途中ではないのだろうか。 どれくらい前からそこにいたのだろうか。 その場所は危険なのだろうか。 そんなことをひとつずつ確認していきます。 人間から見ると、親がいないように見える。 でも、それが本当に親とはぐれた状態なのかは分からない。 ひとりでいるように見える。 でも、それが異常な状態なのかどうかも分からない。 私たちが見ているのは、その瞬間だけです。 けれど野生動物は、人間に見つかる前からずっと生きています。 数分前に何があったのか。 数時間前に何があったのか。 その子が今そこにいる理由は何なのか。 だから時々、助けたい気持ちより先に観察する。 見えていることだけが、すべてとは限らないから。
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タヌキのつくし。 離してほしいのかと思ったら、 もっと抱っこしてほしいだけでした。
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本日から二十四節気の「芒種(ぼうしゅ)」です。 「芒(のぎ)のある穀物の種をまく頃」 という意味を持つ季節ですが、現場にいると別の変化も感じます。 鳥たちの巣立ちが増え始め、 カエルの声が賑やかになり、 ホタルの話題が聞こえ始める。 雨の日も増えてきます。 人間にとっては少し憂鬱な季節かもしれませんが、 自然界では多くの命が動き出す時期でもあります。 昔の人は、空や雨や生きものの変化を見ながら季節を知りました。 カレンダーがなくても、 田んぼの稲や鳥の声が、 次の季節を教えてくれていたのです。 芒種。 今年もまた、 生きものたちが忙しくなる季節がやってきました。
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本音を言えば、 助けられる命なら、 全部助けてやりたい。 困っていると聞けば、 何とかできないだろうか。 他に方法はないだろうか。 そんなことばかり考えてしまう。 けれど、 野生動物に関わっていると、 手を差し伸べたい気持ちだけでは 動けないことがある。 助けたい気持ちと、 立ち止まらなければならない理由が、 同じ場所に並ぶことがある。 今日も、 その間に立っていた。 昼間は、 これが正しい判断だと思っていた。 今も、 そう思っている。 なのに、 夜になると別の答えを探している。 たぶん、 何年続けても、 慣れないことがある。 答えは出ているはずなのに、 まだ考えている。
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今日からSUZURIのTシャツセールです。 全22種類のTシャツが1,000円引きになります。 保護活動を続けていると、 「もっと動物を前に出せばお金になるのに」 と言われることがあります。 でも私は、できるだけ動物に負担をかけず、 人間側が頑張る仕組みを増やしたい。 このグッズの売上は、 保護動物の医療・飼育費 傷病野生動物の保護やリハビリ 自然環境や動物福祉を伝える活動 に使わせていただいています。 本日12時から6月15日まで、Tシャツ全22種類が1,000円引き。 リンクはコメント欄にあります。
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「その一枚が、どこかの命を支える力になります。」 suzuri.jp/science_factory
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保護カラスのあーちゃんの脚の麻痺は改善傾向にありますが、腰から尾部にかけての機能障害が残っており、現在も代償動作を伴いながら生活しています。🐦‍⬛ 本人なりに工夫しながら暮らしているようですが、そのやんちゃぶりは健常個体と大差なく、むしろこちらのほうが毎日振り回されております。
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台風の翌日は、 野生動物の相談が増える。 不思議なのは、 台風の翌日だけ急に動物が増えるわけではないこと。 昨日まで気づかなかった鳥。 昨日まで見えていなかった幼獣。 台風は時々、 野生動物を弱らせるだけでなく、 人の目の前に連れてくる。 本当に助けが必要な命もいる。 ただ、 自然の途中にいるだけの命もいる。 この見極めが、 毎年いちばん難しい。
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タヌキを長く見ていると、ため糞の中身だけで季節が分かることがあります。 夏は昆虫が増え、秋は果実が増え、冬になるとまた変わる。 今回の東京大学と石巻専修大学の研究では、その変化が歯の表面に残るミクロの傷からも読み取れることが示されました。 面白かったのは、歯の傷から見えた食性の変化と、ため糞から見えた食性の変化がよく一致していたこと。 野外で見えていたものと、顕微鏡で見えていたものが、ちゃんと同じ答えを出していた。 そう考えると、この論文はちょっと好きです。 歯の小さな傷からタヌキの季節ごとの食性を解明 ――雑食性のイヌ科動物の食性復元から、化石種の古生態解明へ―― research-er.jp/articles/view…
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ちなみに、この研究で使われたのはロードキル個体の歯だったそうです。 生きている間は誰にも気づかれなかったかもしれない。 それでも、その歯には何を食べ、どんな季節を生きていたのかが残されていた。 少し考えさせられる話でした。
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