「漫画から漫画の勉強をするのはやめなさい。一流の映画を見ろ、一流の音楽を聞け、一流の芝居を見ろ、一流の本を読め」
手塚治虫は異常な読書量で知られている。恐ろしいほどのアウトプットは、驚異的なインプットがあってこそだった。
今回は朝習慣で紹介した「デヴィッド・ボウイの読書リスト」の番外編として、手塚治虫のおすすめ読書リストを紹介する。
<手塚治虫が挙げたおすすめの本リスト>
『ファウスト』(ゲーテ)
『罪と罰』(ドストエフスキー)
『火星年代記』(レイ・ブラッドベリ)
『アルジャーノンに花束を』(ダニエル・キイス)
『モロー博士の島』(H.G.ウェルズ)
『宇宙戦争』(H.G.ウェルズ)
『発狂した宇宙』(フレドリック・ブラウン)
『盗まれた街』(ジャック・フィニイ)
『輪廻の蛇』(ロバート・A・ハインライン)
『トンネル』(ベルンハルト・ケラーマン)
『ジャングル・ブック』(ラドヤード・キプリング)
『不思議の国のアリス』(ルイス・キャロル)
『ガリバー旅行記』(ジョナサン・スウィフト)
『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治)
『丹下左膳』(林不忘)
『たのしい川べ』(ケネス・グレアム)
『旧約聖書』
『バートン版 千夜一夜物語』(リチャード・フランシス・バートン 編訳)
『きつねのライネケ』(ゲーテ)
『山椒魚戦争』(カレル・チャペック)
『火星のオデッセイ』(スタンリィ・G・ワインボウム)
『月世界最初の人間』(H.G.ウェルズ)
『都市』(クリフォード・D・シマック)
『せむしの仔馬』(ロシア童話)
『ベニスの商人』(シェイクスピア)
手塚治虫は多忙を極めながらも、独自の速読法で膨大な読書量を維持していた。
どのくらいのスピードだったかというと、「1ページを1〜2秒」で読み、「500ページの本を約20分」読破し、他者からはパラパラめくっているように見えても、内容はしっかり頭に入っていたそうだ。
【手塚治虫版『ファウスト』で言いたかったこと】
最後に脱線してしまうが、付け加えておく。
この中で「中学時代から何十回も読み返していた」と手塚本人が語っているのが、『ファウスト』。
漫画家生涯で三度、ゲーテの戯曲「ファウスト」を漫画化している。21歳時の『ファウスト』、42歳時の『百物語』、59歳時の『ネオ・ファウスト(未完)』。
ゲーテ版『ファウスト』が人間救済がテーマなら、手塚治虫版『ファウスト』は、自滅する人間を描いている。
「Man errs as long as he strives.」
(人間は努力する限り、過ちを犯すものだ)
これはゲーテ版『ファウスト』の代表的な言葉。
しかし、手塚治虫は新解釈として人間を憂い、警笛を鳴らした。
「Man commits sins as long as he is driven by greed to strive.」
「人間が強欲にかられて努力すれば、必ず、罪を犯す」
『ネオ・ファウスト』は未完で終わっているが、ラストシーンはこの言葉で締めくくりたかったのではないだろうか。
幸せになりたかったら、読書の鬼になることだ。
デヴィッド・ボウイのモーニングルーティンは、朝の5時から6時の間に起き、コーヒーを飲み、他の人が起きてくる前の2時間ほどを読書に費やすことだった。
ボウイにとっての読書は、変身するためのアイデアの宝箱であり、自分を守る存在(聖域に入り込む機会)でもあった。
ボウイのキャラクターを次々と変えるスタイルも、読書があってこそ。
過去のインタビューを調べると、本に関する言葉がたくさん出てくる。
もっとも象徴的なのは「あなたにとって完璧な幸福のアイデアとは何ですか?」というアンケートに対して、『Reading.(読書です)』と答えたこと。
生涯に数千冊の本を読破したとされるボウイは、2013年に開催された自身の回顧展『DAVID BOWIE is』に際して「人生を変えた100冊の愛読書リスト」を発表している。それは以下のとおり。
100冊をキッチリ挙げることも素晴らしいこと。オレは自信持って100冊挙げられないかも。
<デヴィッド・ボウイにとって人生を変えた100冊の愛読書リスト>
◯1〜25位
1位……『時計じかけのオレンジ』アンソニー・バージェス (1962)
2位……『異邦人』アルベール・カミュ (1942)
3位……『Awopbopaloobop Alopbamboom』ニック・コーン (1969)
4位……『神曲 地獄篇』ダンテ・アリギエーリ (14世紀初頭)
5位……『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』ジュノ・ディアス (2007)
6位……『午後の曳航』三島由紀夫 (1963)
7位……『フランク・オハラ詩集』フランク・オハラ (1964)
8位……『アメリカの陰謀とヘンリー・キッシンジャー』クリストファー・ヒッチンズ (2001)
9位……『ロリータ』ウラジーミル・ナボコフ (1955)
10位……『マネー』マーティン・エイミス (1984)
11位……『アウトサイダー』コリン・ウィルソン (1956)
12位……『ボヴァリー夫人』ギュスターヴ・フローベール (1857)
13位……『イリアス』ホメロス (紀元前8世紀頃)
14位……『西洋美術解読事典』 ジェームズ・ホール (1974)
15位……『ハーツォグ』ソール・ベロー (1964)
16位……『荒地 』T・S・エリオット (1922)
17位……『愚か者同盟』ジョン・ケネディ・トゥール (1980)
18位……『ミステリー・トレイン』グリール・マーカス (1975)
19位……『ビーノ(英国漫画誌)』(1938創刊)
20位……『嫌いなものは嫌い』フラン・レボウィッツ (1981)
21位……『デイヴィッド・ボンバーグ』リチャード・コーク (1987)
22位……『ベルリン・アレクサンダー広場 』アルフレート・デーブリーン (1929)
23位……『青ひげの城にて』ジョージ・スタイナー (1971)
24位……『チャタレー夫人の恋人』D・H・ロレンス (1928)
25位……『オクトブリアナとロシア地下文化』ペトル・サデツキー (1971)
◯26〜50位
26位……『マルドロールの歌』ロートレアモン伯爵 (1868–69)
27位……『サイレンス』ジョン・ケージ (1961)
28位……『一九八四年』ジョージ・オーウェル (1949)
29位……『魔の聖堂』ピーター・アクロイド (1985)
30位……『次は火だ』ジェームズ・ボールドウィン (1963)
31位……『夜ごとのサーカス』アンジェラ・カーター (1984)
32位……『高等魔術の教理と祭儀』エリファス・レヴィ (1856)
33位……『荊の城』サラ・ウォーターズ (2002)
34位……『死の床に横たわりて』ウィリアム・フォークナー (1930)
35位……『いかさま師ノリス』クリストファー・イシャウッド (1935)
36位……『路上』ジャック・ケルアック (1957)
37位……『ザノーニ』エドワード・ブルワー=リットン (1842)
39位……『鯨の腹のなかで』ジョージ・オーウェル (1940)
38位……『夜の都会』ジョン・レチー (1963)
40位……『フランシス・ベイコン・インタビュー』デイヴィッド・シルヴェスター (1987)
41位……『神々の沈黙』ジュリアン・ジェインズ (1976)
42位……『グレート・ギャツビー』F・スコット・フィッツジェラルド (1925)
43位……『フロベールの鸚鵡』ジュリアン・バーンズ (1984)
44位……『イングランド紀行』J・B・プリーストリー (1934)
45位……『ビリー・ライアー』キース・ウォーターハウス (1959)
46位……『イルカの墓』アルベルト・デンティ・ディ・ピラーニョ (1956)
47位……『Raw(graphix magazine)』 (1980-91)
48位……『The Age of American Unreason』スーザン・ジャコビ (2009)
49位……『ブラック・ボーイ』 リチャード・ライト (1945)
50位……『ヴィズ(英国風刺漫画誌)』(1979創刊)
◯51〜75位
51位……『ザ・ストリート』アン・ペトリ (1946)
52位……『山猫』ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ (1958)
53位……『ホワイト・ノイズ』ドン・デリーロ (1985)
54位……『心眼を得る』ダグラス・ハーディング (1961)
55位……『酩酊の時代』アナトール・ブロイヤード (1993)
56位……『リトル・リチャード伝』チャールズ・ホワイト (1984)
57位……『ワンダー・ボーイズ』マイケル・シェイボン (1995)
58位……『真昼の暗黒』アーサー・ケストラー (1940)
59位……『ミス・ブロウディの青春』ミュリエル・スパーク (1961)
60位……『年上の女』ジョン・ブレイン (1957)
61位……『ナグ・ハマディ写本』エレーヌ・ペイゲルス (1979)
62位……『冷血』トルーマン・カポーティ (1966)
63位……『民衆の悲劇』オーランド・フィギス (1996)
64位……『終わりなき闇』ルーパート・トムソン (1996)
65位……『逃げ場なし』ジェリー・ハーシー (1984)
66位……『ブリロ・ボックスを超えて』アーサー・ダントー (1992)
67位……『マクティーグ』フランク・ノリス (1899)
68位……『巨匠とマルガリータ』ミハイル・ブルガーコフ (1966)
69位……『白い黒人』ネラ・ラーセン (1929)
70位……『ブルックリン最終出口』ヒューバート・セルビー・ジュニア (1964)
71位……『ストレンジャー・ワールド Part3』フランク・エドワーズ (1961)
72位……『いなごの日』ナサニエル・ウェスト (1939)
73位……『横尾忠則作品集』(1997)
74位……『ティーンエイジ』ジョン・サヴェージ (2007)
75位……『インファント・オブ・ザ・スプリング』ウォーレス・サーマン (1932)
◯76〜100位
76位……『橋』ハート・クレイン (1930)
77位……『明るい夜、暗い昼』エフゲニア・ギンズブルグ (1967)
78位……『ビートニク栄光物語』エド・サンダース (1975)
79位……『北緯42度線』ジョン・ドス・パソス (1930)
80位……『スウィート・ソウル・ミュージック』ピーター・グラルニック (1986)
81位……『ソングライン』ブルース・チャトウィン (1987)
82位……『性のペルソナ』カミール・パーリア (1990)
83位……『アメリカの死に方』ジェシカ・ミットフォード (1963)
84位……『洪水の前』オットー・フリードリク (1972)
85位……『プライベート・アイ(時事問題雑誌)』 (1961創刊)
86位……『引き裂かれた自己』R・D・レイン (1960)
87位……『かくれた説得者』ヴァンス・パッカード (1957)
88位……『卑しい肉体』イーヴリン・ウォー (1930)
89位……『民衆のアメリカ史』ハワード・ジン (1980)
90位……『ブラスト(雑誌)』ウィンダム・ルイス (1914–15)
91位……『ベッドのなかで』イアン・マキューアン (1978)
92位……『皇帝の馬』デイヴィッド・キッド (1961)
93位……『作家の仕事場(Writers at Work)』 マルカム・カウリー編 (1958)
94位……『クリスタ・Tの追想』クリスタ・ヴォルフ (1968)
95位……『ユートピアの岸』トム・ストッパード (2002)
96位……『現世の権力』アンソニー・バージェス (1980)
97位……『パード・アーティスト』ハワード・ノーマン (1994)
98位……『パックーン』スパイク・ミリガン (1963)
99位……『都市の響き』チャーリー・ギレット (1970)
100位……『ウィルソン氏の驚異の陳列室』ローレンス・ウェシュラー (1995)