スマホがやめられないのは、あなたの意志が弱いからではありません。
使った人が依存するように緻密に「設計」されているからです。
SNSの通知やいいねと言った報酬は、いつ来るか分からない。
これは心理学でいう「可変報酬」で、スロットマシンとまったく同じ仕組みです。
報酬がランダムに来るとき、人の行動は最も強く惹きつけられることが知られています。
また動物実験でも、「押せば必ず食べ物(報酬)が出るボタン」と「押すとランダムで食べ物が出るボタン」を与えられたマウスでは、
後者が狂ったようにボタンを押すようになることが知られています。
引っ張って更新する動作も、底のない無限スクロールも、スロットの挙動をそのまま模倣して作られています。
通知アイコンの「赤」の色味ひとつとっても、世界最高クラスの心理学者たちが「どうすれば人の注意を奪えるか」を突き詰めた末に選ばれている。
つまり、狩猟時代からほとんど進化していない脳に対して、最新の脳科学で武装した「携帯するスロットマシン」を、毎日ポケットの中から突きつけられているわけです。
これは個人の根性で勝てる勝負じゃない。
だから責めるべきは自分の意志じゃなくて、その設計の方。
距離を取るのは「逃げ」じゃなく、まともな防衛だと思っています。
結論から言うと、これはドーパミン依存の一番わかりやすい形だと思っています。
『ドーパミン中毒』の著者で依存症専門医のアンナ・レンブケは、多くの人は高ドーパミンの物質や行動を「自分自身の考えから気を逸らす」ために使っていると指摘しています。
スマホや音楽が片時も手放せないのは、 それ自体が楽しいからというより、手放した瞬間に押し寄せてくる思考から逃げるためなんですよね。
そして逃避のためにドーパミンを使うのをやめると、まず最初に、避けてきた辛い思考や感情、感覚が雪崩のように押し寄せてくる。
寝る前やお風呂で過去が勝手に再生されるのは、脳が壊れているからではなく、ずっと蓋をして後回しにしてきたものが、刺激の切れた瞬間に表に出てきているだけ。
つまりその憂鬱は、「まだ向き合えていないもの」が顔をのぞかせているんだと思います。