東大・科学警察研究所などの研究チームが、ある事実を査読論文で明らかにしました。
日本人の頭蓋骨は、100年間で形が変わっていました。
1900〜1920年代に亡くなった方と、2020年代に亡くなった方それぞれ56人のCTスキャンデータを3D解析した結果です。
最も大きな変化は「短頭化」と呼ばれる現象で、現代人の頭骨は前後が短く、横幅が広くなっています。同時に、頭の高さはわずかに低下し、鼻骨は細くなりながら前方へ突出する傾向も確認されています。
もう1つ興味深いのが、男女差の拡大です。100年前と比べて、現代では男性の頭骨がより大きく変化しており、男女の形状の違いが広がっています。
原因については食生活の変化(やわらかいものを食べる機会の増加による咀嚼負荷の低下)、栄養状態の改善、成長期の生活環境の変化といった複数の要因が複合的に作用している可能性が示唆されています。ただし現時点では「これが決定的な原因だ」と断言できるところまでは至っていません。
実はこの研究には重要な実用上の意義もあります。法医学や人類学の現場では今でも明治・大正時代の骨格データが「現代人の基準値」として使われているケースがあります。今回の発見は、その古い基準値を現代人に適用することへの問題提起でもあります。
100年という時間が、食卓の変化と共に私たちの骨格にも静かに刻まれていた。進化とは教科書の中だけの話ではないようです。