⑤去年の4月の出張中、スタッフから「ヒロアキさん、炎上しています」と連絡がありました。
急いで確認すると、諸々の対応を行っていたお客さんの一人の投稿が発端でした。
当時その方の生体が複数体調を崩し、最初に死んでしまった1匹がDEUから購入した生体だったことから、「何か対応してもらえないか」という相談を受けていました。
ただ、「最初に死んだ1匹=発生源」という因果関係は結びつけにくいので、できることとできないことがある。そこを整理しながら、どう進めるかを話している最中でした。
ところが、話の途中でいきなりDEUを糾弾するような長文がTwitterに投稿されます。
何かタイミングに違和感を感じつつも、火力と勢いが尋常ではなかったので、慎重に対応する必要がありました。
僕は一旦すべての発信を止め、火力のピークを慎重に見極めることに努めました。
そしてピークを少し越えて、「DEUを叩く」空気から「これどこに着地するの?」という議論が出始めたタイミングで、DEUとして声明を出します。
初手を間違えればさらに大炎上しかねない緊張感の中、幸運にも炎上自体は一晩で嘘のように収まりまって本当に助かりました。
ただ、その間の社内の混乱はとんでもなく、古いスタッフも「さすがに終わった」と思ったらしいし、不安で泣いてしまう人もいました。
ーーー
ともかく、本人と一度会って話す必要を感じ、数日後に僕の都合で羽田空港のカフェで会うことになりました。
大炎上が一気にひっくり返ったので、当時の空気はどちらかというと、彼の方が「やばいやつ」認定になってしまっていて、説明すればするほど立場が悪くなっていくように見えました。
何でいきなりあんな投稿をしたのかも気になりましたが、それ以上に、彼が今後どうしたいのかの方が気になりました。
僕は、彼がボールを全部やめてしまうつもりなのだと思っていました。
当たり障りない雑談を少し挟んだあと、核心を聞きます。
「ボールやめたいの?」
『やめたくないです。家族で一緒に飼育とブリードをしていきたいです。』
「でもあんな悪目立ちをしたらもう誰もブリーダーとして信頼してくれないよ。名前やアカウントを変えてもいずれバレるし」
『そうですよね…』
このやり取りのあと、僕は
「うちにおいで」
とDEUに誘いました。
これは炎上直後から考えていたことです。
Twitterのトレンドに乗るくらいの騒動になってしまった以上、DEUが再度信頼してもらうためにも、彼がボールをやめずに済むためにも、「彼がDEUに入る」という誰も想像しない新しい形が最適解だと思っていました。
応じてくれるかどうかは分かりませんでしたが、
「しっかりやり直して、スキルも身につけて、信頼も回復して、応援された上で独立すればいい。できるだけサポートする」
と、できるだけ丁寧に伝えました。
彼は最初は非常に驚いていましたが、
「そんな未来があるんですね」
と言って、迷った上で最後は応じてくれました。
仕事があるのでフルタイムではありませんが。
彼をDEUに入れると決めた時、
「自分なら受け入れられない。そんな選択はできない」
と多くの友人に言われました。
僕は人を憎むということがほとんどありません。何も生まないので、いつの間にかすぐ忘れます。
忘れて新しいことをした方が何倍も楽しい。
今噛み付いて回っているのも、憎しみで攻撃しているというより掃除をしているだけです。
嫌いは嫌いですけど。
なので距離を取って生きるだけです。
でも彼は長期間ネチネチ攻撃したり、性根が腐った動きをしていたわけではなく、捨て身でぶつかってきただけでした。
だったら和解して協力した方がいい。DEUのお客さんも安心するし、彼の友人たちも安心する。双方の未来も良い方向に向く。
みんなが幸せです。
「もっと燃えろ」と面白おかしく囃し立てたかった人や、
「DEUを潰したい」と考えていた人には不満だったでしょうが、僕はこれが一番まともな着地だと思いました。
今でも後悔はまったくありません。
ーーー
……これで終われば良かったのですが。
後日、彼から「DEUに入れてもらう前にお話があります」と、最悪の報告がありました。
今回の騒動の裏にはLRとSWAG BALLERがいたこと。
最初、病気の件でSWAGの喜田さんから「ウイルスに詳しい友人を紹介する」と言われ、LRの立田さんを紹介されたこと。
ウイルス相談をするつもりだったのに、最初から「それより今回のことをSNSで騒いで制裁しよう」という流れに誘導されたこと。
最初は何を言っているのか全く理解できませんでした。
SWAG BALLERは一時期運営をDEUが担っており、関係解消の時は良い雰囲気ではありませんでした。
ただ、それぞれに頑張っていこうと送り出して以来、特に交流はありませんでした。
LRの立田さんとは開業初期からそれなりに仲良くやってきて、合同イベントなどもしてきました。
炎上した当時も何度も「大丈夫か?」と連絡をくれていました。
酔って余計なことをする時があるだけで、基本的には友好関係にあると認識していました。
上田は最後まで抵抗していましたが、どうしても必要なのだと頼み込んで二人が関与していた証拠を見せてもらうと、二人で炎上の方向性の指南から文章添削までやっていて、投稿のタイミングも立田さんが指示していました。
最初の「タイミングの違和感」の根拠がここにあり、さすがにくらくらしました。
僕のことが嫌いなら、付き合わないなり、面と向かって攻撃すればいい。
そうではなく、友達面しながら裏でコソコソ斬りつける準備をして、事後も心配するフリをして様子を探る。
何がしたい、というより、人としてどうなんだ?
ここまで筋の通っていない人間を、僕は初めて見ました。
その後、イベントでもわざわざDEUのブースに寄って「ウイルスw」などと言って笑っていたらしいですが、随分かっこいいな、立田さん。
しょうもない二人に翻弄され、一緒になった上田にももちろん悪い部分はあるでしょう。
ただ、丁寧に謝罪してくれ、その後に第二第三のの騒動があっても変わらず側にいてくれています。
僕も最初にもっと寄り添えたら違う未来があったかもしれません。
約束をしたので、彼の成長と独立のために僕はきちんと責任を持ちます。
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それはそれとして
この狭い業界、この商売。
炎上自体は収まったとはいえその影響はすさまじく、DEUは一気に崩壊に向かうことになります。