つげ義春からつながって井伏鱒二の作品が好きになった。
太宰治の「魚服記」にも、「紅い花」と重なるところがあった。
「父親はすぐ炭小屋へ帰ってゆくが、スワは一人いのこって店番するのであった。遊山の人影がちらとでも見えると、やすんで行きせえ、と大声で呼びかけるのだ。」
つげ義春における井伏鱒二の存在はきわめて大きいけど、もう井伏鱒二のことはほとんど語られない。
井伏さんはひところはノーベル文学賞候補とまで言われてたんだけどね。
以下、けっこう有名な影響関係
つげ ← 井伏
『山椒魚』 ← 『山椒魚』 ただしタイトルのみ
『沼』 ← 『丹下氏邸』 広島県福山地方の方言がそのまま。
「いかようにもがけど詮なかるまいに」
「いっそ死んでしまった方がなんぼか幸せ……
『紅い花』 「キクチサヨコ 」← 『言葉について』
「サトミサヨコ」(少女をフルネーム呼び)
『もっきりやの少女』 ← 『言葉について』 旅人が少女に悪態をつかれる冒頭から展開が類似
『ねじ式』 ← 『山峡風物誌』「しりつ(堕胎)してください」
『ゲンセンカン主人』 ← 『へんろう宿』 因果と輪廻の反復構造
『池袋百店会』 ← 『駅前旅館』 シチュエーションが類似
生真面目でちょっと抜けた少女のエロスの原型は『朽助のいる谷間』の「タエト」(ダブルの美少女)か
つげ自身も何度も井伏愛は語っているのでパクリと言うよりはオマージュか
つげ作品のインパクトが井伏作品を上回るのも事実