麻疹が流行しています。
Measles 2025(N Engl J Med 2025;393:2447-58)のまとめ
麻疹の感染力は強力で、基本再生産数は12〜18。基本再生産数とは、感染症に対する免疫を全く持たない集団において、1人の感染者が平均して何人に直接感染させるかを示す指標。
患者は発疹出現4日前〜4日後まで感染性があるため、発疹が出てから隔離では遅い。
症状)
麻疹を疑う典型像は、発熱+カタル症状(3C:Cough咳、Coryza鼻汁、Conjunctivitis結膜炎)。
その後、Koplik斑と皮疹が出現する。Koplik斑は頬粘膜の白色小斑点で、60〜70%の患者に認められ、特異度が高い。
皮疹は顔面から始まり、体幹から四肢に広がり、融合する紅斑性丘疹である。
特に、海外渡航歴、ワクチン未接種、地域流行、集団生活、医療従事者では必ず鑑別に入れる。
合併症)
麻疹は約30%に合併症(肺炎、中耳炎、下痢、角結膜炎、脳炎)を起こす。麻疹死亡の最大原因は肺炎である。乳児、栄養不良、HIV、免疫抑制、妊婦は特に危険。
麻疹はB細胞とメモリーT細胞を破壊し、免疫健忘(immune amnesia)を起こすため、麻疹後は他の感染症にかかりやすくなる。この免疫抑制は2〜3年間持続する。
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は麻疹後7〜10年して発症しうる致死的脳炎。特に2歳未満感染でリスクが高い。発生率は10万例あたり7〜11例。
予防)
ワクチンは極めて有効で、1回接種で約93〜94%、2回接種で約97%の有効性がある。麻疹再流行の主因はワクチン失敗ではなく未接種のためである。
日本人では、30代半ばから50代前半は、1回のワクチン接種となっていて免疫が不十分な可能性が高い。
集団免疫(herd immunity)の閾値は高く、麻疹制御には95%以上の人々の2回接種が必要である。
修飾麻疹)
ブレイクスルー感染とは、ワクチン接種をして免疫ができているはずの状態で、麻疹に感染してしまうことである。2回接種でも感染することはある。修飾麻疹と呼ばれ、症状は軽く、ウイルス量は低いが感染力はある。
「麻疹を見逃すと院内アウトブレイクになる」
疑ったら、すぐ隔離、空気感染対策、保健所連絡、接触者確認が必要。麻疹は密閉空間で最大2時間ウイルスが生存可能なため、院内アウトブレイクのリスクが高い