さらに、"Photon 羽生結弦 Urushi Art Piece"のこと。
同業者としては見逃せない。元記事に「呂色」という語そのものは出てこないが、「幾層にも塗り重ね、研ぎ、平滑さを追求する」「漆の鏡面」「光を汲み取る黒」といった表現から、少なくとも呂色に近い鏡面性を強く意識した仕上げであることはうかがえる。そうしないと表面の加飾印刷が際立たないからだ。
少しの乱れも許されない高平滑の漆黒面を成立させるだけで、綿密な漆仕事がなされていると言える。
しかし今回この作品がそこで終わらないのは、その漆の鏡面に高精細なUVインクジェット印刷を施しているということ。さらに透明なニスで仕上げることで漆の艶と被写体を違和感なく融け合わせているという。このニスも重要そう。
つまりこのアートピースは、漆の職人技だけでも印刷技術だけでも完結しない。高平滑の漆黒面を作る技術、そこに像を破綻なく載せる印刷技術、そして最終的な見え方を統合する表面仕上げの技術が高い水準で噛み合って初めて成立している。
牧野漆工芸さんがすごいのはもちろんだが、これをプリントしさらに仕上げまで持っていった印刷屋さんの側もまた相当にすごいと言わざるを得ない。
残念ながら当方にはそういうノウハウはない😅