「最低賃金は今年いくら上がるのか」
2026年度は、金額の前に制度そのものが動き始めています。
まず昨年度の事実から整理します。
2025年度の最低賃金は、全国加重平均で1,121円。
前年度から66円、率にして6.3%の引き上げで、目安制度が始まった1978年度以降で最大の上げ幅でした(厚生労働省・2025年9月答申)。
初めて全47都道府県で1,000円を超え、国が示した目安額を上回る引き上げを決めた県が39道府県にのぼっています。
注目したいのは、発効日のばらつきです。
引き上げ後の金額が適用される日は、2025年10月から2026年3月まで地域ごとに分かれ、最も早い地域と遅い地域で約半年の差が出ました。
この事態を受けて、日本商工会議所など中小企業4団体が今年4月、連名で異例の要望を出しています。
経営実態を踏まえた審議を、準備期間に配慮した合理的な発効日を、という内容です。
2026年度の改定に向けた議論は、すでに中央最低賃金審議会で始まっています。
論点は金額だけではありません。
目安の決め方や、地域ごとに分かれる発効日のあり方まで含めた見直しが、俎上に乗っています。
政府は2020年代に全国平均1,500円という目標を掲げています。
当面、引き上げが続く前提で考えておくのが現実的です。
では、経営者は何を準備するか。
答申が出る夏より前のいまのうちに、3つを進めておくと動きやすくなります。
・今後数年の継続的な引き上げを織り込んだ、賃金テーブルの試算
・賃上げに使える助成金(業務改善助成金など)の確認
・人件費の上昇分を価格に反映するための、価格転嫁の準備
最低賃金はもう、毎年の恒例行事として金額だけを眺めるものではなくなってきたと感じます。
制度の変わり目に合わせて、自社の人件費とコストの設計を見直す時期に来ているのだと思います。