藤井風さんがコーチェラに立った話、覚えていますか?
今日たまたま、ある番組のスタッフルームで話題になりまして。
「あれ、もう4月の話だったよね」「えー、そんなに経ったっけ?」みたいな、ちょっとした雑談だったんですけど。
そこから不意に、あの映像をもう一度ちゃんと観たくなって、夜になってからしばらく見返していたんです。
コーチェラというのは、アメリカ・カリフォルニアで毎年4月に開かれる、世界最大級の音楽フェスのひとつです。
出演するアーティストの顔ぶれは、その時点で世界の音楽シーンの第一線を映している場所、と言って差し支えありません。
そこに、藤井風さんが2週連続で立った。
1週目で「Okay, Goodbye」、2週目はMojaveステージで「Prema」。
映像を観返しながら、改めて、これは事件だったんだなぁと、深く息を吐きました。
ニュースの見出しとしては「日本人がコーチェラに立った」という形で書かれていたんですが、現場のことを少しでも知っていると、見え方がぜんぜん違ってくるんですよね。
これは、突然起きたことじゃないんです。
藤井風さんは2024年の10月から12月、アジア各国を回るツアーをやっていました。
2025年の7月は欧州。
8月から10月は、北米。
日本のニュースだとあまり大きく取り上げられない海外の現場を、ひとつずつ、ちゃんと潰してきていた。
そして気がついたら、インドのチャートで首位を取り、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシアでもランクインしている。
2026年4月のコーチェラというのは、その積み重ねの先端で起きた、一瞬の出来事です。
私はTVや音楽の現場で、長いあいだ「世界で勝負したい」と語る若い表現者を、たくさん見てきました。
そういう方の多くが、「いつかチャンスが来たら」という構えで日々を過ごしていることがあります。
でも、実際に世界で立つ人を観察していると、共通点がひとつあるんですよね。
「チャンスが来てから動く人」ではなくて、
「届く場所に、自分から足を運び続けている人」
藤井風さんが2024〜25年に積んできたのは、まさにそれだったんだろうと思います。
アジア、ヨーロッパ、北米。順番にちゃんと一周してから、コーチェラに立った。
順番を間違えていない、というのが、私はすごく印象に残りました。
今夜、誰かが藤井風さんを「最近世界で売れ始めたアーティスト」と紹介していたら、私はちょっとだけ違う見方を伝えたい気持ちになります。
突然売れたんじゃないんです。
積み重ねが、いま、見える場所まで来た。
そういう人だと、私は思っています。
もしまだ観ていない方がいたら、週末の夜にでも、「Prema」のライブ映像、よかったら覗いてみてください。
もう観た方も、ぜひもう一度。
歌の良さの前に、ステージに立つまでに通った道のりが、なんとなく見える気がします。