【STROKE LAB実技勉強会】
👤担当:清水
📚テーマ:【麻痺側上肢・胸椎の伸展パターンの軽減により、歩行時の麻痺側下肢の荷重量が増加した症例】
発症から8年が経過した視床出血の症例。
上下肢ともに重度の感覚障害があり、歩行時には強い伸展パターンが出現していました。
装具と杖を使用した歩行では、麻痺側立脚期に足趾の過伸展と足関節内反が生じ、麻痺側下肢へ十分に荷重できない状態でした。
今回の介入で着目したのは、下肢だけでなく、麻痺側上肢と上部胸椎の伸展パターンです。
歩行時、麻痺側肩甲骨は挙上・後退しやすく、胸椎も伸展方向へ固定されていました。その影響で重心が後方に残り、麻痺側下肢へ身体を預けにくい状態になっていたと考えられます。
介入では、麻痺側上肢の知覚と肩甲骨のプロトラクションを促すために、座位でお腹の前で両腕を抱え、自分のお腹をさするような運動を行いました。
この時、「お腹が痛い時にさするように」と、過去の身体経験を想起しながら自己接触の感覚を入力することがポイントでした。
その結果、麻痺側上肢の伸展パターンが軽減し、胸椎の屈曲も誘導しやすくなりました。
この上半身の条件が整った状態で、座位で骨盤への荷重練習を行うことで、麻痺側下肢への荷重がスムーズになりました。
介入後は、歩行時の麻痺側下肢への荷重量が増加し、歩行リズムと歩幅も改善。荷重できるようになったことで、足趾の過伸展も軽減しました。
歩行における麻痺側荷重の乏しさは、下肢の支持性や足部アライメントだけでなく、上肢・胸郭の伸展固定によっても制限されます。
特に重度感覚障害を伴う症例では、身体認知の曖昧さや恐怖心が過剰な姿勢固定を生み、結果として歩行の自由度を奪っていることがあります。
今回の症例を通して、情動・身体認知・姿勢制御をつなげて評価し、介入する重要性を改めて感じました。
【今週から週2回、業務内時間で勉強会を増やしました。
今回のテーマは「セラピー中の言語イメージ」についてです。
普段、私たちが何気なく行っている「声かけ」ですが、実は「時間的側面」「空間的側面」「言語イメージ」という3つの軸から構成されています。
一つ目の「時間的側面」は、いつ注意を向けるかです。
動作中に「今どうなっていますか?」と問えば現状のモニタリングが働き、動作直後の「今どうでしたか?」という過去への声かけは成功パターンの強化に。また、「次はどうしますか?」と運動直前に未来へ意識を向ける声かけは、運動の準備領域を活性化させます。このタイミングの使い分けが効果に直結するため、動作中の声かけには細心の注意が必要です。
二つ目の「空間的側面」は、どこに注意を向けるかです。
自身の身体に向ける「内的フォーカス」と、床など外に向ける「外的フォーカス」では、活性化する回路が異なります。特にパーキンソン病の方には外的フォーカスが有効であり、セラピスト自身の事前の緻密な設計が求められます。
三つ目の「言語イメージ」は、何を見せるかという比喩の技術です。
単に「床を押して立って」と伝えるより、「氷の上を歩くように」などと比喩を加えることで、抽象的な運動が一気に具体的なイメージへ翻訳されやすく
なります。
今回は、これらを踏まえた「言語イメージの10段階レベル」をロールプレイ形式で実践しました。
実際にやってみると、人によって言葉に詰まるレベルが異なり、スタッフそれぞれの課題がどこにあるのかが明確になりました。自分が普段無意識に行っている声かけが、どの軸にアプローチしているのかを自覚することが、セラピーの精度向上に繋がることを確認しました。
現場では、長年「ハンドリング」の技術が重視されがちでした。
しかし今回改めて、言葉を使った緻密なイメージの設計は、ハンドリングと同レベルに重要であるという認識をスタッフ間で共有しました。
この「声かけの技術」を日々の臨床や後輩指導を通して培っていくことが、結果としてセラピストの介入の質に大きな違いを生み出すと再確認できた機会となりました。