再び、野中広務さんのことが話題のようだが、これは音声オンにして、彼の肉声を聞いてほしい。戦争を見た人の遺言のような声。この人は戦争中、女性に触れたこともないと言って出撃していった若い特攻隊員たちを見、ムチで叩きのめされながら働かせられる朝鮮人労働者を見、焼け野原の街々で呆然とする無数の浮浪者たちを自分の目で見た。いちばん弱いところから出た人だから見えた。その出自を隠さない強い人だった。ガヤガヤと外野が言っていたのではなく、権力の一番真ん中にいた人の声。こういう人が10年前なら、重しのようにして、力の暴走を防いだ。ところがいま、「憲法を変えたからって、戦争になるわけないじゃないか」と笑う人がいるが、権力の中枢までのぼったこの人が最後に残した、なまの実感がこめられた言葉を聞いてほしい。いま、戦争を知らない御曹司たちが、我は強者なりと、ナルシシズムに酔っているのをみると、本当に怖い。
野中広務氏
【大政翼賛会のような形にならないように、若い人たちにお願い】
安倍総理は憲法改正をしたいと言うが
「僕は反対です。やっぱり私みたいにね、戦争に行って死なないで帰ってきた人間はね、再び戦争になるような道は歩むべきではないと。これが私の信念です。」