このありふれた人、ジュリスト2024年7月号で「ランサムウエアに対する法的論点の整理」って記事を書いてて、「基本法こそ重視すべきである」「パッチワーク的に特別法や判例法理を濫立させると法体系全体の安定性が著しく害される」って所に首が折れそうなぐらい頷いた。
【がち有能裁判官】
西尾太一裁判官
評価4.7/6件
「警察の証拠改ざんをバイナリレベルで暴いた」
最強裁判官
・東京大学 理学部 卒業
・早稲田大学大学院 法務研究科 修了(2010年)
・弁護士登録(2012年に裁判官任官前に弁護士活動)
・大阪地裁判事補(2012年1月任官)
---何をした人?---
愛知県警パトカー ドラレコ改ざん事件
(名古屋地裁令和4年10月5日判決)
「事件の基本情報」
事故日:2020年4月6日 午後11時50分頃
場所:名古屋市天白区の交差点
当事者:県警パトカー、一般の運送会社のワゴン車
状況:スピード違反車両を追跡中のパトカーが赤信号の交差点に進入、青信号で進行中の貨物車に衝突
被害:原告に人身損害 物的損害
「事件の争点」
パトカーは交差点進入時にサイレンを鳴らしていたか?
パトカー警官の証言:「サイレンを鳴らしていた」
愛知県警の主張:「ドラレコに音声がない理由は録音機能を使用していなかったから、最初から音声データはない」
➤サイレンを鳴らしていなければ赤信号進入は明らかな違法行為となり愛知県の責任が大幅に増大
「西尾裁判官の推理 バイナリ解析」
・ドラレコ動画の「ファイル作成日時」がおかしい
提出証拠乙4(事故前10秒程度):作成日時 2021年7月
提出証拠乙11(事故前1分程度):作成日時 2021年9月
➤事故から1年以上後に作成された動画
「未編集データから抜き出した」ものと推察できるが、なぜ未編集データそのものを提出しないのか?
・普通使わないエンコーダーソフトを使用
乙4・乙11のバイナリデータを解析すると、動画切り出しに通常使用しないマイナーなエンコーダーソフトで編集されている
特殊なドラレコ形式を汎用形式に変換するためという可能性はゼロではないが、極めて低い
➤「何かしらの加工」が施された痕跡
・音声データ格納領域が「整いすぎている」
動画のバイナリデータには音声データ格納領域が存在
「録音機能未使用」なら、ここは無音または特定パターンになるはず
西尾裁判官が解析すると、「DF 7D F7」「5D 75 D7」という特徴的なデジタル信号が低頻度で書き込まれた状態で、素人目には見た目奇妙に整っている
技術的には「それだけでは改ざんと断定できない」が、ドラレコの型番を特定すれば仕様を検証可能
・裁判所からの釈明命令
西尾裁判官は愛知県側に:
「パトカーに搭載されていたドラレコの型番を特定せよ」
「メーカー製マニュアルを提出せよ」
「未編集の元データを提出せよ」 と要求
・愛知県警、釈明拒否+反訴取下げ
愛知県側は釈明に応じず
同時に「サイレンを鳴らしていた」との主張を撤回
反訴も取り下げ
結果:愛知県の敗訴確定
判決
原告の請求を全部認容
原告A株式会社:請求全額認容
原告B(ワゴン車運転者):国家賠償法1条1項に基づき384万8141円 遅延損害金を認容
愛知県側、控訴も上告もせず判決確定