AIエージェント時代の決済、手数料という経済的摩擦の少ないステーブルコインが台頭するのではと言われてきたけど、結論は「ステーブルコインがエージェントによって生まれる新たな取引を担う形での、カードとのハイブリッド」になりそう。
人間が介在する取引には「チャージバック」という強力な買い手保護と莫大な加盟店を持つクレカが残り、ミリ秒単位で大量に動くマシン間のマイクロペイメントには摩擦の少ないステーブルコインが入り込んでいく。
「Web3が既存金融を倒す」という物語はわかりやすく浸透していくと思われるが、現実的な予測は「既存金融では物理的(経済摩擦的)に不可能な経済圏がWeb3によって拡張される」だという予測で、自分もそう思う。
この事例に限らず、置き換えというよりは新しく生まれる市場の取り合いとなっているケースは今非常に多い。起業家は置き換えでストーリーを語るし、事実そうなる業界もたくさんあると思うが、慎重に評価すべきと思う。
「AIエージェントはクレジットカードに勝てない」は嘘である。
元Visaで現在Web3 VCにいるJack Simison氏の考察記事が非常に解像度が高いです。結論から言うと、両者は競合するのではなく「タスクによる使い分け(ハイブリッド)」に落ち着くというものです。
まず、エージェントが「人間の代理」として航空券やSaaSの支払いをする場合、圧倒的にクレジットカードが勝ちます。なぜなら既存経済の1億5千万店舗で使える受容性があり、何より「チャージバック(返金保証)」という強力な買い手保護があるからです。
一方で、人間が決してやらないような取引、例えば「0.003ドルのAPI呼び出しを1時間に1,000回行う」ようなマイクロペイメントや、「品質がプログラムでミリ秒単位で検証可能なデジタル商材」の取引においては、クレカの固定手数料(30セント+数%)は完全に経済的摩擦になります。ここで輝くのがステーブルコイン(x402プロトコル等)です。
つまり、人間の既存経済にタッチする部分はカードが担い、機械間(M2M)の超高速・超少額・即時決済の領域はステーブルコインが担う。Stripeがx402をサポートし始めたのも、この「適材適所のハイブリッド」を見据えてのことでしょう。Web3が既存金融を破壊するのではなく、既存インフラが届かない空白地帯を埋めていく、という極めて現実的な未来予想図ですね。