実際に病院経営に携わっていると、一部の急性期や特定機能では恩恵を受けるケースもあるが、全体を見れば物価上昇や人件費高騰を十分に吸収できる状況ではないと感じる。
・人件費の上昇
・光熱費や材料費の高騰
・地域間競争の激化
・患者ニーズの多様化
こうした課題は今後も続いていく。
だからこそ大事なのは、診療報酬改定を待つ経営ではなく、経営体質そのものを見直すことだと思う。
診療報酬に依存した経営は、制度変更に左右されやすい。一方で、患者さんから選ばれる仕組みづくりは自分たちでコントロールできる。
いかに患者さんに来ていただくか。いかに満足していただくか。患者ファーストの視点で先行投資を行い、地域から選ばれる医療機関を作ること。
これからの時代、医療機関の成長を支えるのは制度ではなく、自ら築き上げた経営基盤だと感じている。
残念ながら、医療経済実態調査では、クリニックの約4割が赤字、という結果が出ています。看護師の人件費は上がり続け、光熱費や消耗品の価格も高止まりしたまま、なかなか下がっていないのが現状。
そんな中、これから施行される診療報酬改定が「12年ぶりの大幅プラス」と報じられ、賃上げの追い風として期待されているのは、確かにそのとおりだと思うのですが...
ただ、本体率はプラスでも、薬価の引き下げを含めた全体率はわずかなプラスにとどまっていて、物価上昇のスピードとの差を、これだけで埋め切ることはとてもできないんですよね。
つまり、診療報酬という外部環境に賃上げ財源を期待する経営の組み立て方そのものが、もう静かに成り立たなくなってきている、ということ。
改定を当てにして一年ずつしのぐのではなく、自院の収益構造を一度棚卸しして組み立て直す。
スタッフを守れるのは、外部から降ってくる数字ではなく、自院のなかで設計し直した仕組みのほうなのだと感じています。