バードの死から10年目の録音.オマージュではないし,ビバップ的なゴツゴツ感もないのだが,注目は1曲の演奏時間.すべて2分台半ば~3分強という短さ(16曲入り!)なのに食い足りなさはなく,曲の肝をつかまえているのである.3分芸術で揉まれたベテランの腕に唸る.
The Walter Bishop Jr. Trio/1965 (PR7730)
〆もパーカー所縁のピアニストで.彼を高踏的に捉えるとつまらないが,バド並みにクセがすごいひとだと思って聴くととても面白い.音色と弾き方で“あ,ジョン・ルイス”とすぐ判る.ビバップ戦国時代を生き抜いたミュージシャンは皆,ワンアンドオンリーの何かを持っている.
The John Lewis Piano (LPM2065)
'61年,モード台頭の中“ビバップかましてやろうぜ”とペインとジョーダンが企み,ディジー組のパーシップの面を借りる.そこにテリーが“面白いじゃねぇか”と乗っかった─そんな背景を妄想しながら聴く.なぜか呼ばれたロン・カーターの影が薄いこと(笑).バード所縁の曲が並ぶ傑作.
Cool Blues (DJSLM2032)
往年のフィルムノワールの挿入歌をオードリー・モリスが弾き語る.『キッスで殺せ』『恐怖のまわり道』『拳銃魔』『ラケット』『深夜の歌声』『ブルー・ガーディニア』『孤独な場所で』...こういったタイトルでビビビッと身体が反応する方(何人くらいいるんだろう)は迷わず一聴を.
Film Noir (FF7845)
Terry ‘with Monk’なのにモンクのアルバム扱いで,お高い新OJCの中でも抜きん出て安く売られているという,テリーの不人気を体現するような1枚.モンクともピーターソンともしれっと共演してしまう懐の深さとか,ヘラヘラ嗤っているラッパの実は目が嗤っていない感じとか,凄いんだぞ.
In Orbit (CR00723)
クラーク・テリーって日本では実に人気がなくて泣けてくる.かくいう私も近年まで“ダンモのひとではない”“唄う”“なんだかふざけてる感じがする”など言いがかりのような理由で敬遠していたので偉そうなことは言えないが,断言します,これは名盤です.笑うダンディズム.
Oscar Peterson Trio One (SR60975)
45歳にして海外に行ったことがない.サンフランシスコへ行って,敬愛するハメットの『マルタの鷹』─探偵サム・スペードの足取りを追ってみたい.オラクル・パークで野球も観たい.ケーブルカーに乗ってこのジャケよろしくモンクの気分を味わいたい.もちろん,ひとりで.
Alone in San Francisco (CR00948)
このジャケットで欲しかった.モンクはキャップや麦藁帽を被っても似合うし,黒のスーツに赤いドレスシャツでもキマる.何を着ても借りてきたような感じがしないというのは,やはりその内面にある強烈な個性ゆえなのだろうな.パーカーも常に格好いいしね.やっぱりビバッパーは凄いや.
Solo Piano (SRLP34)