なあ、お前と飲むときはいつもリーマンショックの話だな。
一番最初、お前と飲んだときからそうだったよな。
俺がまだ投資を始めたばかりで、NISAで月3万積立してたとき、
お前は「リーマンショックのときは一晩で人生終わった奴が山ほどいた」って語ってたよな。
「だから俺は暴落のにおいを嗅ぎ分ける嗅覚があるんだ」
お前はそう言って笑ってたっけな。
俺が初めてボーナス全部で株を買ったとき、
お前は「リーマンの時はな、日経が一日で1000円飛んだんだぞ」って胸を張っていたよな。
「俺はあの地獄を知ってるから、今の相場も危ないってわかるんだ」
「お前らは浮かれてるけど、みんな地獄行きなんだ」
そういうことを目を輝かせて語っていたのも、リーマンショックの話だったな。
あれから十年たって今、
日経平均は66,000円になった。
企業決算は何度も更新され、
賃上げもインフレも、円安も自社株買いも、
日本株を取り巻く景色はあの頃とはまるで変わった。
それでも、こうしてたまにお前と飲むときは、
やっぱりリーマンショックの話だ。
ここ何年か、年明けに極端な暴落なんて起きていないのに、
お前と飲むときだけは毎回世界が終わる。
日経が40,000円を超えたときも、
「これは天井だ」と言っていた。
50,000円を超えたときも、
「最後の逃げ場だ」と言っていた。
60,000円を超えたときも、
「靴磨きが買い始めた」と言っていた。
そして66,000円になった今も、
お前はまだ、黄ばんだ紙切れみたいな暴落シナリオをポケットから取り出している。
別に用心するのは悪いことじゃない。
相場に警戒心は必要だ。
暴落が二度と来ないなんて、俺だって思っていない。
でもな、お前の言うクラッシュは、
もう相場分析じゃなくて、都市伝説みたいになってるんだ。
なあ、別に相場が堅調だっていいだろ。
日経が66,000円になった世界で、
まだ毎回「リーマン級が来る」って言わなくてもいいだろ。
もう少し未来の話をすれば、
俺たちも希望を持てるはずの年齢じゃないのか?
でも、今のお前を見ると、
スマホのメモ帳に保存された「暴落の前兆まとめ」ってタイトルを見ると、
俺はどうしても「もっと明るい話しようぜ」って言えなくなるんだ。
お前が前に全財産をショートで吹っ飛ばしたのも聞いたよ。
お前があのとき体を壊して、仕事まで失ったのも知ってたよ。
今はSNSで「日経66,000円は完全にバブル」「リーマン級が来るぞ」って、
必死に煽ってるのもわかってる。
だけど、もういいだろ。
十年前のアベノミクスの最中と同じで、
十年前と同じ顔で、
リーマンショックの亡霊を語らないでくれ。
日経が66,000円になってもなお、
お前の世界だけが2008年に取り残されている。
そんなのは、隣の席でイキってる
脱投資初心者のnote売りだけに許される空騒ぎなんだよ。
マジで今は暴落のないリーマンショックなのに誰も気づいていなくて草